初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
「混んでるな」
「混んでますね」
新田さんが講義終わりに迎えに来て、そのまま大学を二人で出て駅付近にあるチェーンのコーヒーショップに向かった。
真夏でとても暑いのと、季節限定フラペチーノが今日までなこともあり、コーヒーショップのレジには長蛇の列が出来ていた。
店員にメニューを手渡されると、新田さんは長身を屈めそれを一緒に覗き込む。
「見れば見るほど甘そうだな。俺アイスコーヒーにしよ」
「甘いもの得意じゃないとか、人生損してますよ」
「見た目で取り返してるから良くね?」
「ウワァ……」
「何引いてるんだよ」
確かに見た目でその他の損がチャラになるなこの人は。
その横っ面を見ていると、ふと至近距離で視線が交わった。
すると、新田さんは目を細めイタズラに口角を上げる。