初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜



「見惚れた?」
「……ほんと、顔は一級品」
「ははっ、顔だけかよ。奢らねーぞ」
「それは話が違うので帰りますよ私」
「馬鹿、嘘だって。ふふっ、あはは」



 さっきとは一転、子供のように笑う新田さんは本当に楽しそうだ。
 色っぽい新田さんも美人だが、こうやって大口開けて笑ってるのを見る方が私は好ましい。



「そういえば、今日の約束何も言われなかった?」
「言われませんでしたけど、次は約束を優先します」
「んじゃ、次は終わるの待ってるわ」
「待ってなくていい」



 今日約束をしていた友人達に断りを入れると、少し前まで病んでいたのに元気になってよかったと快く送り出されて驚いた。
 言葉にはしないけど、心配してくれていた人も居たんだと嬉しくなる。



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