初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
彼氏との関係は変わらないのに、新田さんが居ることで要らぬことを思い出し、傷付く時間はぐんと少なくなった。
素直に本当にそれがありがたい事だと思う。
無事にレジで注文を終え、引き渡し口に行こうとすると新田さんが私の肩を軽く叩いた。
「香苗は席取っといて。あそこ、今ちょうど空いてるから」
「あ、分かりました」
「お利口に座ってろよ」
「分かってますよ〜」
混み合った店内で、丁度よく空いた席を新田さんは指差す。
私は埋まった席をすり抜け、そこに腰を下ろした。