初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜



 チラリと見えた耳が赤い。
 これまで新田さんの目尻や耳が赤いのはよく見てきたけど、もしかしてこれは怒ってるのではなく、照れているのか。


 そして、自惚でなければ、新田さんはもしかして────。




「俺の恋愛観変えたんだから、オマエも今後俺だけにしろよ。連絡取ったり出掛けたりすんの」
「……出来る限りはしますけど」
「はー、あっちぃ。ほら早くフラペチーノもう一回飲み行こう。さっきの店入りずれーから、駅中の方に行こう」



 私の手を握る新田さんの手は大きくて、とんでもないほど熱い。
 太い指にカサついた分厚い手のひらから、新田さんが男だと感じさせられて胸が熱い。


 けど、放そうと思えないのは完全に絆されているからだ。


 足取りは軽く、私は嬉しくなって口角を上げる。



「新田さん、合鍵返してくださいね」
「チッ、バレてたか」



***
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