初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜



 ゆらゆら、ふわふわ。
 これが酩酊状態か。ここまで酔っ払うのは初めてだ。


 今日の大衆居酒屋は美味しいのに低価格なチェーン店で、久しぶりの友人達との酒の場で会話も弾みお酒も進み、最終的に座敷席で転がっていたのが最後の記憶だ。


 そして今、熱い身体に心地よく感じる秋の夜風に吹かれながら、街灯の下を進んでいる。おんぶされて。


 そう、おんぶ。



「……なんで、おんぶなんですかぁ……?」
「千鳥足で見てらんねーから」
「マジですかぁ……マジかぁ……」
「あー、迎え行ってよかったわ。こんな酔っ払い、うかうか一人で歩かせられん」



 新田さんの首に腕を巻き付けていると、ピッタリとくっついた大きな背中から体温が伝ってくる。


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