初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜




「ぎゅってしてほしいです」



 新田さんは驚いたのか、分かりやすいほど目を見開いた。
 私は羞恥心なんてとっくの昔にぶっ飛んでいて、とにかくもっと新田さんに触れてほしくてたまらない。


 しかし、待てど暮らせど新田さんの体温を感じることができない。私は新田さんの表情を見て、冷水をぶっ掛けられたかのように冷静になった。
 新田さんは固まり、あーとかうーとか唸ったあと、真剣な顔つきで突然立ち上がったからだ。


 そして、私の頭を二、三度優しく叩くとこちらに背を向けた。
 私はあまりの状況の変化に追いつけず、ポカンと口を半開きにしたまま動けない。



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