初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜



「勘違いしない方がいいよ。深冬、誰にも本気にならないから」
「……は、えっと」
「だから、深冬が自分のこと好きなるとか勘違いしない方がいいってこと! 善意で言ってあげてるの。なに? もうヤった? 本気になっちゃった?」
「し、してないですけど」



 私の言葉に元セフレは気を良くしたのか、ニイッと心底私を馬鹿にする様に口角を上げる。
 そして、煙草に火をつけながら話を続けた。



「深冬、顔も良いしセックスもめちゃくちゃ上手いんだよ? したら抜け出せなくなっちゃうから、今のうちにやめといたら?」
「…………」
「っていうか、アレだけ毎日一緒に居て、手を出されてないってことは魅力がないのかもね」



 セフレはキャハハッと楽しそうに笑う。
 私は居た堪れなくて、その場から逃げ出した。


 なんとか人気のない女子トイレに辿り着き、水道に手を掛け俯く。
 もう、頭がぐちゃぐちゃだった。



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