初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜



 友人の作った遅めの朝食の卵焼きを食べながら俺は唸る。
 何で告白しないのって、そんなの──。
 


「しようと思う度、香苗がすげー可愛く笑うから。それ見てると、もうなんつーか胸いっぱいで」
「…………」
「告白なんてしたことないから分からねぇ……。マジでどんなタイミングで、どんなシチュエーションでしたらいいのか」
「そんなの別にいつでもいいだろ。遊んでたくせに、本命には奥手なんだな」



 友人の生ぬるい視線がうざったくて、白米を掻き込み気を紛らわす。


 奥手にもなる。自分でも笑ってしまうほど、本気過ぎるから。



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