初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜




 これまでは恋なんかと馬鹿にしていたし、付き合ってもいないのに身体を繋げることが日常茶飯事だった。
 相手もそれでいいと言っていたし、それ以上を求めてくる相手は切り捨てていたから。


 だけど、昨日はどうしても香苗を抱くことはできなかった。
 求められていることは分かっていた。
 けど、日々一緒に過ごす中で、いくら恋をしたことがないといえど、香苗から感じる好意には気付いていたから。


 だとしたら、素面の時に告白して恋人になりたい。
 間違えてもアルコールの勢いになんて頼りたくないし、そう思われたくもない。


 我ながら自分のことを面倒臭い奴だと思ったが、恋を大切にしている香苗には真摯でありたいと心に決めていた。
 あれだけ前の恋で泣いていたんだから、大切に、大切にしたい。



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