初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
「お疲れ様です」
「お疲れ様。最近疲れてない? シフトもたくさん入ってるし、たまには休みとりなよ?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
店長が心配をしてくれて罪悪感が湧く。
いつも通りファミレスのバイトを終え、帰り支度を済ませ店を出た。
アパートまでの街灯が照らす静かな夜道を歩いていると、どんなに疲れていても考え込んでしまう。
少し前、新田さんがおんぶして歩いてくれた。あの固くて熱い背中を思い出すと胸が締め付けられる。
早くこの胸の痛みから解放されたいのに、あの夜に私から新田さんを求めなければとか、それ以前に好きにならなければとか、色々な考えが脳内を巡る。