初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
私は新田さんに、恋をしたことがないなんて可哀想だと言った。
けど、こんなに辛くて苦しくて悲しい思いして、馬鹿みたいに傷付くのなら、恋なんてしない方が正解だと思えてくる。
────そうだ。恋なんて全然良いものじゃない、もう二度としなくていい。
歩きながら自分の中で結論を出すと、やっとアパートが見えてきた。
ホッと息を吐き階段を上ると、私の部屋のドアの横に座り込む影があり驚き立ち止まる。
もう深夜に近い時間だ。あまりの恐怖に数メートル離れた場所で引き返そうか迷っていると、その影は顔を上げた。
私は喉の奥から引き攣った声を出す。