初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
「か、香苗っ」
「ちょっと、何なの?」
座り込んでいたのは元カレだった。
以前よりも頬がこけて、目が据わっている。付き合っていた頃の面影がない。
私を見つけるなり大股でこちらに近寄り、縋り付くように腕を掴まれ鳥肌が立つ。
「ごめん、ごめん香苗」
「やめてよ、なんで来たの?」
「俺、後悔してるんだ……香苗はあんなに俺のこと大切に想ってくれてたのに。あんな女に騙されて、香苗と別れたら他の男に乗り換えられてっ……」
どうりで最近浮気相手との噂を聞かないと思ったら、そういうことか。
コイツ、とことん女が居ないとダメな奴だな。心から呆れる。
生理的な嫌悪感から、触れられている腕を離そうと振るが、逆に力を込められ引き寄せられそうになる。