初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜
「ねぇ、話は分かったからとりあえず離して。痛い……」
「今の俺なら、あの時の香苗の気持ちが分かるんだ。だから、なぁ、頼むよ。俺今住む場所なくて……」
「はぁ?」
私の声に、元カレは焦ったように言葉を続ける。
「あの女と一緒に住んでて、追い出されるように出てきたんだよ。……また一緒に暮らそう。俺、今度こそ香苗を幸せにする」
「やめてよっ……! もういい加減にしてっ。今更何を言われても、ヨリを戻すことなんて有り得ないから。警察呼ぶよ?」
「香苗っ、ほら、あんまり騒ぐとよくないから中に入ろう? ほら早く」
「嫌っ!」
無理矢理腰を抱かれ、深夜だとか関係なしに声を上げてしまう。
力の差は歴然で、元カレは妙に息を荒くして私の部屋に向かい脚を進めていく。
このままでは大変なことになる。
私は青ざめながら必死に抵抗することしかできない。