初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜




 この先も、都合の良い遊び相手として隣にいて、勘違いして傷付き続けろというのか。
 

 告白もしてくれない、勇気を出しても抱いてもくれない。
 遊びたいだけで、脈がないならもう手放してほしい、苦しいのはもう嫌なの。


 もう、恋なんてしたくない。しなくていい。さっきそう決めたばかりなのに。


 こうやって体温を感じ、嗅ぎ慣れた香水の匂いを感じてしまったら、安心する声を聞かされてしまったら、嫌いになんてなりきれないと私の心が叫び出してしまう。


 悔しい、馬鹿みたい、だけど、どうしても────。



 一度引っ込んだ涙が再び溢れ出し、お腹に回った新田さんの腕に落ちる。
 新田さんが息を呑んだのが分かった。



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