もう一度、その声が聞きたかった【完結】
(圭介 side)

真っ暗なら闇の中をずっと歩いていた。

''圭介…"

小さな声で何度も名前を呼ばれるが
周りを見ても誰もいない。

しばらくして一筋の光の中に少女が現れた。
彼女は手招きして俺を声のする方へと誘導してくれる。

俺を呼ぶ声がだんだんと大きくなり
俺は目を覚ました。

目の前には不安気な顔をする女性がいる。
状況がわからず周りを見渡す。

(ここは病院…?)
医師や看護師を見て確信に変わった。

頭から全身がズキズキ痛む。

医師と話をしていく。

ここ1ヶ月と大学時代の記憶が
全く思い出せない…

その部分だけ綺麗に切り取られたみたいに。

"記憶喪失"

まさか自分がそんな事になるなんて…

病室で一緒にいた女性の顔が
どんどん暗くなっていく。

(事故は彼女と関係あるのか…?)

彼女に話を聞こうとしたが
病室から出て行ってしまった。
< 101 / 168 >

この作品をシェア

pagetop