もう一度、その声が聞きたかった【完結】
彼のお見舞いを終え
タクシーでそのまま出勤した。

腕の傷口はまだ痛むので
ゼリー飲料を胃に入れてから
抗生物質と痛み止めを服用する。

事件の後から全く食欲がなかった。

今日出勤しているスタッフには
恐怖心を与えないように簡潔に状況を説明した。

私は個々の接客には付かず
レジやバックの作業をこなす。
なにも考えないように
とにかく仕事に集中する。

幸いにも日曜日ということもあり
閉店まで忙しかった。

明日は月曜日。
本社に事件の報告と
彼の怪我と入院を伝えてないといけない…

気が重い…
状況に寄っては
明日はお見舞いには行けないかもしれないと考えていた。

もう1人のスタッフと閉店作業を終えて
店の戸締りをして別れた。

私はタクシーを捕まえてるため
大通りまで歩く。

ふいにうしろから肩を叩かれた。
一瞬、事件のことを思い出す。


私は恐怖でその場に頭を抱えしゃがみ込んだ。
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