もう一度、その声が聞きたかった【完結】
彼の腕の中で目が覚めた。

どうやらあのまま
泣き疲れて眠ってしまったようだ。

私はメイクしたままの顔が気持ち悪くて
シャワーを浴びる。

『ん…、今何時?』

「今、5時過ぎだよ…新幹線何時?」

『始発6時。もう起きるよ。』

「昨日はごめんね。
少し話しただけで寝ちゃって。
せっかく大阪まで来てくれたのに…。」

『そんな事気にしなくていい。
さくらの顔を見に来たんだから。
それに今週金曜日の会議の日にまた会えるし
その時にゆっくり話そうな。
それより、今日総務部長に事件の報告するんだろ?
さくら、大丈夫か?』

「う、ん。また一から話すのは辛いけど
取引先の方に怪我させちゃったし
事件になっちゃったからきちんと報告しないとね…。」

『何か助けられる事あったら言って。』

「うん。
でも勇人から総務部長には何も言わないで。
関わる人は少ない方がいいから…。
色々ありがとうね。」


彼は私を心配しながら東京に戻っていった。
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