もう一度、その声が聞きたかった【完結】
社長室から出ると
勇人が心配して待っててくれた。

『話は終わったか？』

「うん。帰ろう。」

私は無理やり笑顔を作った。

彼の部屋に着いた。

『さくら、なに食べたい？』

「ごめん、食欲なくて…」

彼は私の頬に手を添えてる。

『顔色良くないな…。なんか食べた方がいい。
消化が良くて温まるスープにするよ。
その間にシャワー浴びておいで。』

私は彼の言う通りにした。

シャワーを浴びてリビングに戻ると
彼がソファに座り''おいで''と手招きする。

彼の手にはドライヤー。
彼の前に座ると髪を乾かしてくれた。

心地よくて
今日あった嫌のこともドライヤーの風で
吹き飛んでしまえばいいのに…なんて思った。

ドライヤーが終わると
腕の消毒をしてくれる。
生々しい傷口を見られるは気が引けたが
今日はもう何も考えたくなくて
彼に身を任せた。

『痛くないか？綺麗に治るといいな…』

「そうだね…」

『よし、終わり。ご飯にしようか。』

私の目の前に野菜たっぷりのコンソメスープ。

ここ最近
冷たいゼリー飲料ばかり口にしていた私は
スープの温かさに心が少しほぐれた。
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