もう一度、その声が聞きたかった【完結】
(圭介 side)

スマホの電話帳を確認すると
彼の名前があった。

彼の住所は東京。
もしかしたら俺が無くした記憶を知る人かもしれない…。

俺は彼に電話をかけた。


ーーープルっプルル

『よー!圭介、元気にしてるか?
もしかして招待状みて電話くれたのか?
結婚式絶対来てくれよー!』

彼のテンションの高さに少し圧倒される。

「あの、いきなりですが
俺のこと知ってますよね?」

『へぇ?!なになに?!
圭介だよな?鷲尾圭介だよな?』

「はい、鷲尾圭介です。
実は事故にあって記憶がなくなってしまって
僕の事で知ってる事教えてもらえませんか?」

『・・・・』

「えっと、いきなりそんな事言われても
ビックリしますよね。すいません。
大学時代の記憶がなくて…
出来れば協力してもらいたいんですが…。」

『…わかったよ。まずは自己紹介から。
俺は向井優希(ムカイユウキ)、圭介とは同じ青大で
出会って仲良くなった。今は広告会社で働いてる。』

「ありがとうございます。
あの来週土曜日、時間あれば会えますか?
僕が東京に行くので。」

『大丈夫。じゃぁ、続きは会って話そうか。』

「よろしくお願いします。」

俺は電話を切ると少しホッとした。
俺の過去を知る人に会って話を聞けば
なにか思い出せるかもしれない。

彼女は思い出さなくていいと言ったが
俺はどうしても思い出したい、彼女の事を。
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