もう一度、その声が聞きたかった【完結】
私もキッチンへ行き彼の手伝いをする。
彼は和風パスタを、私はサラダを作った。

食事を終え、お風呂の時間。

私は意を決して彼を誘う。

「勇人、今日は一緒に入らない?」

『えっと…。いいよ。』

彼は私のいきなりの誘いに動揺している。

「先に入ってるね…。」

誘ったのは私だけど
もちろん恥ずかしい…。

私はお湯を張った湯船に入浴剤を入れて
乳白色にして誤魔化す。

先に体を洗い終えてお湯に浸かりながら
体を洗う彼の背中を見つめた。

『さくら、見過ぎ。体に穴があく。』

彼がそう言いながら湯船に入ってきた。
私の体を反転させると後ろから抱きしめる。

「ねぇ、今日の勇人、変じゃない?」

『そうか?何が変?』

「キスしないし…なんか距離を感じる。」

『最初に距離をとったのはさくらの方だ。』
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