もう一度、その声が聞きたかった【完結】
翌朝、昨夜眠りが浅かった私は
早起きして朝食とお弁当を作った。

今日の午前は私の部屋の荷物が搬入される。
お弁当は食べやすいおにぎりと卵焼き。

彼とテーブルに向かいあって朝食を摂る。
やっぱり少し、昨日気まずさが残る。

『朝早かったみたいだけど、昨日眠れたか?』

「昨日昼寝し過ぎてちゃったから
ちょっと眠りが浅くて。
朝早くに目が覚めちゃたから
お昼のお弁当も作ったよ。」

『そうか。ありがとう。食べたら出るか。』

「そうだね。床拭きもしたいし。
食べたら出発しよう。」

彼のマンションを出て
キャリーバッグを転がしながら
歩くこと15分。
私が住むマンションに到着した。

オートロック付きの1DK。
大阪より少しだけ狭くなったが
寝室の壁紙が選べたのが気に入った。

内見以来はじめて部屋に入る。

「うわ〜、やっぱりこの壁紙にして正解!
すごく可愛い〜!!」

ベージュ地に白色のダマスク柄の壁紙。
私のテンションは急上昇。

『あぁ、さくららしいな。』

彼がそんな私を見てやっと笑顔を見せた。
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