もう一度、その声が聞きたかった【完結】
引っ越し業者が次々と家具を配置していき
あっという間に運び終わる。

服はハンガーや衣装ケースのまま
クローゼットにしまうだけ。

あとは段ボールが10個ほど。
とりあえずすぐに必要な物だけ荷解きして
夕方には作業を終えた。

「あとはゆっくり片付けるよ。
明日から1ヶ月ちょっと休みだし。」

『そうだな。休職中、何かするのか?』

「今はまだなにも。
とりあえずゆっくり過ごすかな…。」

『ちゃんとご飯も食べて、毎日太陽浴びて、
早寝早起きしろよ。』

「勇人、いつから私のお母さんになったの?」

2人してブハっと吹き出した。

いつもの勇人に戻ったようで安心する。

『これからはいつでも会いたい時に会える。
今までは離れていて遠慮していたところもあったと思う。俺たちはまたこれから始めていけばいい。』

そう言うと彼は私の手に
彼の部屋の鍵を握らせた。

『いつでも来ていいから。
暇ならご飯作って待ってて。
飛んで帰るから。』

私は笑顔で頷いた。
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