もう一度、その声が聞きたかった【完結】
15:嫉妬と想い
あっという間に1ヶ月が過ぎ
今日はクリスマスイブ。

久しぶりに外でデートをする。
全身鏡の前でひとりファッションショー。

嫌でも自分の変化に気付く。

あの事件から体重は3キロ減り
肋骨がうっすら浮かぶ。
夜中に何度も目が覚め、目の下にはクマ。

きっと彼も言わないだけで
気づいているはず…。

東京に戻ってから
家に篭りがちで出掛けても
近所のスーパーやコンビニぐらいだった。

外ではメガネの男性が気になり目がいく。
今だに駅には行けないし
長い階段を見ると足がすくむ。

心の中には確実にトラウマになっていた。

デートの前に本社へ行き
会社で年明けの勤務について相談していた。

まだ接客することへの恐怖心が消えず
店舗への復帰は難しかった。

私は正直に今の現状を伝え
総務部長と話し合った。

一旦、総務部に所属して
本社で行う研修のトレーナーをすることになった。

彼も賛成してくれた。
しばらく接客からは離れた方がいいと。
< 131 / 168 >

この作品をシェア

pagetop