もう一度、その声が聞きたかった【完結】
胃がキリキリして
寒いのに手には汗がじんわり滲む。

約1ヶ月半ぶりに圭介が目の前にいる。

『倉木さん、お元気でしたか?』

「はい。鷲尾さん、ギプス外れたんですね。
良かったです。」

この感じだと私の記憶はないままだろう。

私たちが軽く会話を終えると
横にいた彼が口を開いた。

『鷲尾さん、初めまして。
LIFE style 森谷です。MDをしています。』

彼らが名刺交換をする。

『先日の事件では鷲尾さんには
大変ご迷惑をお掛けしまして申し訳ございませんでした。
同僚としてもですが’恋人'としても
彼女を助けて頂いて、感謝しています。』

最後の言葉に私は固まる。

圭介の顔を見ると、一瞬驚いた顔をしたが
すぐに笑顔に戻った。

『そうですか…。
あの日、1番近くにいた'元カレの僕'が、彼女を守る事が出来たので良かったです。』

『えっ?』

驚く彼に対して圭介は満面の笑みを向けた。
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