もう一度、その声が聞きたかった【完結】
気まずい空気が流れたその時
タイミングよく本田さんに呼ばれた勇人。

『ちょっと本部に挨拶してくるから
さくらはキャンドル見て待ってて。』

彼は何度も振り返り私たちを見ては
キャンドルイベントの本部へ行ってしまった。

「なんであんな言い方したんですか?
わざわざ元カレだなんて言わなくても。」

『森谷さんだっけ、彼が彼氏アピールするからさ…。さくらを守れなかったくせに
彼氏づらしないで欲しいね。』

「そんな言い方…って、さくらって。
えっ……?!圭介……?」

『全部思い出したよ、さくら』

固まる私の手をとり
彼は勇人から見えない場所に私を連れて行く。

彼が私を強く抱きしめた。

『さくら、忘れててごめんな…』

「思い出さなくて良かったのに…」

私の声が震えている。
目からはいつのまにか涙が流れていた。

彼の中に私がいる…。
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