もう一度、その声が聞きたかった【完結】
''ブッーブッーブッー''

コートのポケットに入れていた
スマホのバイブが鳴り、私は我に返った。

私は慌てて彼を突き放し、
彼に背中を向けて電話に出た。

『さくら、いまどこ?』

「勇人、もう終わったの?
お手洗いに行ってたから、さっきの所に戻るね。」

『わかった。待ってる。』

私は電話を切ると彼の方に振り返る。

「ごめん…彼が待ってるから…もう行くね…」

歩き出そうとした瞬間
私が手に持っていたスマホが彼の手の中へ。

彼は素早く画面を打ち、私に返す。

『番号貰ったから、また連絡する。
2月にまたこっちにくるから時間作ってくれ。』

「えっ!?」

意味がわからなくてスマホを見ると
電話履歴に知らない番号。

どうやら彼のスマホにかけて
私の番号をゲットしたようだ。

スマホから顔をあげると
彼の背中は遠くにあって
結局何も言えずに別れてしまった。
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