もう一度、その声が聞きたかった【完結】
緊張でなかなか動けない私をよそに
彼はタクシー代の支払いをスマートに済ませ
私の手を引いてタクシーからおろした。

『さくら…?』

「えっと、タクシー代!」

『俺が呼んだんだし気にしなくていい。
それより来てくれてありがとう。』

彼は優しく微笑み、私を抱きしめた。

「ちょっと、圭介、ここお店の前だよ…」

私は離して欲しくて彼の胸を叩く。

『あ、ごめん。嬉しくて、つい…』

私の手を握り直すとレストランに入った。

お店のスタッフにコートを預けると
目の前の大きな扉が開かれた。


「えっ…」

私は驚きを隠せない。

てっきりちょっと高級なレストランで
ディナーでもするのだろうと思っていた。

でも目の前に広がる光景は想像とは違った。
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