もう一度、その声が聞きたかった【完結】
事故からもうすぐ1ヶ月。

スマホは事故の時に壊れてしまって使えず
病室のテレビで事故のニュースを初めて観た。
重体だった運転手が亡くなったらしい。

死者は運転手を含めて3人。
重症者は2人。軽症者は3人。


ずっとベッドで過ごしていたが
退院に向けてリハビリが始まった。

右足の大腿骨を骨折した私のリハビリは
想像を絶するものだった。

毎日必死に取り組んだ。
そのほうが、圭介のことも赤ちゃんのことも
考えずにぐっすり眠れた。




約3ヶ月の入院生活を終え、私は退院した。
季節はすっかり冬に変わっていた。


骨折の経過は良く松葉杖は必要だが
ある程度は1人でこなせるようになった。



自分の部屋に戻るのは、あの日以来。

机の上には買ったばかりだった
エコー写真用のアルバム。
使う前にもう必要なくなってしまった。


今まで張り詰めていた気持ちが
一気に崩壊した。


「うぅーーっ」


ただただ泣いた。


なんで私はひとりになっちゃったの…?
私は何のために生きてるのだろう…。


それからリハビリの通院以外は
家に引きこもる生活が続いた。
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