もう一度、その声が聞きたかった【完結】
朝から夕方まで続いたミーティングを終え
私は彼と飲みに行った。

『今日はミーティング三昧で疲れただろ?
お疲れさま。』

「お疲れさまでーす。」

私たちはビールで乾杯する。

「私はやっぱり店頭に立って接客する方が好きです、本社勤務は無理そう。」

『倉木は店舗向きだよな。
俺はMDになりたくて入社したから
今の方が充実してる。
まっ、たまに店舗応援に入るのは楽しいけどな。』

彼は枝豆を食べながらはにかんだ。

「大阪にも応援来てくださいねー。
森谷さんとこんな風に頻繁に飲めなくなるの
寂しすぎますから。」

『なに?俺と会えなくなるの寂しいの?
とうとう俺に惚れたか?』

「惚れてはないですけどっ。
でも入社して以来、森谷さんとは
だいたい週1ペースで飲んでますよね。
もう3年も。すごくないですか!?」

『まっ、お前の彼氏より
お前の事知ってるかもな。』

「今はいませんよ。
入社してから付き合った人たちは
だいたい半年以内には別れちゃったんで
森谷さんが1番私を知ってますよ。」


私はビールジョッキの水滴を指でなぞる。
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