もう一度、その声が聞きたかった【完結】
ホテルのレストランで食事をした後
部屋で2人きりなった。


お互いシャワーを浴びたあと
彼から声をかけられた。

『少し話さないか?』

「はい…」

少し緊張が走る。

『昨日のことだけど…
気付いたんだ、自分の気持ちに…』

「えっ…?」

『最初はただの可愛い後輩だった。
なにより仕事が好きで一生懸命で明るくて。
倉木といると元気をもらえた。
自然と倉木の笑顔が俺の支えになってたんだ。

だから倉木の過去の話を聞いて
1人で大きな苦しみを抱えてる事にも気付かず
俺は今まで倉木の何を見ていたのだろうって
自分に腹が立った。

悲しい時苦しい時はそばにいて支えたいし
倉木の笑顔をずっと近くで見ていたい。

俺は倉木のことが、好きだ。

ゆっくりでいいから
俺と一緒に前に進まないか…?』


「森谷さん…」

彼のまっすぐな言葉に胸がギュッとなる。
いつのまにか私の目から涙が流れていた。
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