もう一度、その声が聞きたかった【完結】
陽のぬくもりを感じて目覚めた朝。

カーテンを開けて
大阪の街を見下ろした。

昨夜は体を重ねることはせず
手を繋ぎ眠りについた。

微妙な距離感…逆にドキドキした。

心より先に体の関係を持ってしまったので
彼なりに気を遣ってくれたのかもしれない。

『んー、さくら、おはよう。』

部屋が明るくなり、彼が目を覚ました。

「森谷さん、おはようございます。」

『な・ま・え』

「あっ、勇人(ユウト)…おはよう…」

『うん、いいね。』

昨夜、寝る前に2人の時は名前で呼ぶ事と
敬語をやめる事を約束していたのに
すっかり前のように話してしまっていた。

名前で呼ぶと彼は嬉しそうに笑い
胸がキュンとした。

先輩だった時とは違い
柔らかい雰囲気を纏う彼。

先輩から私の彼氏になったのだと実感した。
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