もう一度、その声が聞きたかった【完結】
私は会計をレジスタッフに任せ
ラッピングに取り掛かった。

チェーンが絡まらないよう丁寧に
ラッピング用の巾着袋に入れる。

ラッピングが仕上がり
店の入り口付近で待っていた男性に
声をかける。

「おまたせしました。
こちらになります。」

ラッピング済みのネックレスが入った
ショップ袋を手渡した。

男性はそれを受け取ると
なぜか私に差し出す。

『あなたにプレゼントしたいんです。
倉木さん。』

私は名前を呼ばれ思わず胸に付けている
名札を左手で隠すように握る。

「…申し訳ございませんが、
これは受け取れません。」

男性は私の断りを聞き入れてはくれず
私の右手首を掴み無理やり袋を
握らせようとした。

「や、やめてください!」

私は強めに手を振り切る。


『そ、うですよね…すいません…』

男性は私と目を合わせることなく
店を去って行った。



連絡先を渡されることはまたにあるが
ここまで執拗にされたことは初めてで
怖いと思った。
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