もう一度、その声が聞きたかった【完結】
私たちの居るバックルームには
店内のBGMがうっすら聴こえる。

あれから和田さんと林さんは先に帰り、
2人きりになった。




勇気を振り絞り、話かける私。

「…ビックリした、元気だった?」

『あぁ。
和田さんに、倉木さんって聞いてたけど
まさかさくらだと思わなかったよ。』

と苦しそうに笑う彼。

''さくら''と呼ばれ、ドキッとした私。


「WANZUに入社したんだね。」

『あぁ…5年ぶりか…?
東京では1度も会わなかったのに
まさか大阪で会うとはな…。』


「ほんとにね…。
これからよろしくお願いします。鷲尾さん。」

『…こちらこそよろしくお願いします。
倉木店長。』


私は今、ちゃんと笑えている?

私の前にいる彼はツラそうな顔をしている。
また困らせてしまった。

あなたをたくさん傷つけた
私になんか会いたくなかったよね、きっと。
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