もう一度、その声が聞きたかった【完結】
記入した書類と保険証を看護師に提出する。
ちょうど和田さんが病室にやって来た。
『倉木さん、大丈夫?大変だったわね…。』
「私の怪我は大した事なくて…
でも…まだ目を覚さなくて…」
私は彼に視線を向けた。
『だいたいの事情は分かったけど、
倉木さんと鷲尾は知り合いだったの?』
「実は大学生の頃、お付き合いしていました。
あのご挨拶の時に5年振りに再会して…」
『そうだったの…
だからあの時2人とも様子が変だったのね。』
「あの、私、彼のお母様に連絡したいんですが、和田さんご存知ですか?」
『彼ね、ひとりなのよ。
母親は大学卒業してすぐに亡くなったそうよ。
若いのに脳梗塞で突然だったみたい。』
「えっ…そうだったんですね…」
彼が母子家庭で育ったことは
付き合っている時に聞いていた。
女手一つで東京の大学に行かせてくれた事に
すごく感謝していたのを覚えている。
たった1人の家族だったのに…
あの時の私の決断はもしかしたら…
彼の家族を作るチャンスを奪ってしまったのかもしれない…
彼の心情を考えると胸が苦しくなった。
ちょうど和田さんが病室にやって来た。
『倉木さん、大丈夫?大変だったわね…。』
「私の怪我は大した事なくて…
でも…まだ目を覚さなくて…」
私は彼に視線を向けた。
『だいたいの事情は分かったけど、
倉木さんと鷲尾は知り合いだったの?』
「実は大学生の頃、お付き合いしていました。
あのご挨拶の時に5年振りに再会して…」
『そうだったの…
だからあの時2人とも様子が変だったのね。』
「あの、私、彼のお母様に連絡したいんですが、和田さんご存知ですか?」
『彼ね、ひとりなのよ。
母親は大学卒業してすぐに亡くなったそうよ。
若いのに脳梗塞で突然だったみたい。』
「えっ…そうだったんですね…」
彼が母子家庭で育ったことは
付き合っている時に聞いていた。
女手一つで東京の大学に行かせてくれた事に
すごく感謝していたのを覚えている。
たった1人の家族だったのに…
あの時の私の決断はもしかしたら…
彼の家族を作るチャンスを奪ってしまったのかもしれない…
彼の心情を考えると胸が苦しくなった。