リサイクルショップ おおたき

 翌日大滝が出勤すると工芸品コーナー辺りから真っ黒な靄みたいなものが吹き出していた、あれはだめだ、近づいたら最悪死ぬと思って焦った。安見と岩野にことが収まるまで来ないよう警告したが、二人は面白がって見に来たので大滝は呆れてしまった。

 大滝が呼び出した祖父の知り合いの的屋は、気怠そうにタオルの上からぼりぼり頭を搔きながら、「おたくひどいことしたね」と言った。

 鬼レンジャーのことかと思ったが、それは違った。


「この鬼たちは並び順が決まってるんだよ。大滝のオッサンから何も聞いてないの?」


 大滝は全然知らない、と首を横に振った。本当に全然知らないからだ。大滝の祖父は昔から肝心なことを伝えない癖がある。


「適当に並べ替えちゃったら、それはおかしなことになるわな」


 的屋は無精ひげの生えた顎に手を当てながら唸った。
< 35 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop