リサイクルショップ おおたき

 ところが本当に驚くべきはここからだった。マネキンが話し始めたのである。


『イ、イワノクン』


 ひ、と岩野はのけぞった。

 占い師は言った。

「今、この人形の中に、岩野を追いかけている女の思念が入っている。といっても、一人のものではなく、複数からなる融合体だ。一体どれだけの数の女を泣かせたらこういうことになるんだか」


 岩野は怯えきって泣いており、言葉を発することができないでいる。

 マネキンはノイズが混ざったような声で話し出した。どんな恐ろしい恨み言を言い出すのかと、大滝たちはぞっとした。


『チャ、チャントタベナキャ……ダメダヨ』

「え……お母さん?」

『カップラーメントカ……デマエトカジャナクテ……バランスノイイショクセイカツヲ……』

「なんかインストラクターみたいになってきましたよ」


 と安見もおののく。

 これには占い師も首を傾げた。
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