リサイクルショップ おおたき
『ひどい。あんまりだ』
のっけからそう言うので、大滝は「なにが?」と言った。
『お宅の店に調査を依頼されてから、僕はひどい目にばかり逢ってる』
ひどい目とはなんだ、と大滝は具体的に聞いてみた。すると探偵曰く、他の依頼が激減したことを皮切りに、毎日犬の糞をがっつり踏み抜き、貝を食べれば食中毒になり、自分が捨てたゴミだけがカラスに荒らされ、育てた花が枯れた。極めつけは寿司屋から出前を取ったらシャリが全部わさびだったと言うのである。
「それうちの依頼のせいだっていう証拠ねえじゃん」
『証拠はないけど確信はある』
「調査料はきっちり支払いますから、言いがかりはやめてくれませんかね。寿司屋のミスまでこっちのせいにされたらたまったもんじゃない」
大体なんだその寿司は。本来は誰が注文しどこに届くはずだったのか。百歩譲って枯れてしまった花はかわいそうだが。
『ともかく僕は大滝さんとこの依頼はもう受けません。そのうち死ぬ気がします。ああひどい目にあった』
一方的に電話を切られたので、大滝は「人はみな死ぬだろ」と言いそびれた。