日直当番【完結】
 いよいよ金曜日、1学期期末考査が始まる。土日を挟んで4日間だ。今週は、勉強しててもいつの間にか別のことが頭に浮かんでしまい、その度に払拭しようとするのに払拭しきれず頭を抱える事態に陥り、気持ちが入りきらずこの日を迎えてしまった。ここしばらく私の頭を占領していた隣の席の男は、余裕そうにテキストを眺めていた。この男が憎い。手に持っていた化学の教科書越しに、下からじとーっと鉛のような目で進藤くんを睨んだ。パッと進藤くんがこちらを見る。

「何よ」

「それはこっちのセリフです。視線を感じたので」

 いつかした会話だ。エスパー進藤。

 ガラガラ、と教室前方の扉が開いて担任の池上先生が入ってきた。

「みなさん、おはようございます。いよいよ今日から期末考査です。4日間、最後まで諦めずに全力で取り組んでください。テスト中に居眠りなど言語道断です。チャイムが鳴るギリギリまで、答案用紙に穴が開くくらい入念に見直しをしてください。とにかく最後までやり切りましょう。テストが終われば夏休みが待っていますからね」

 そうだ。もう7月に入っていたんだった。そう言えば、月の変わり目に席替えがあるはずなんだけど、7月は2週間しかないからということで席替えはしないと、この前先生が言っていた。まだしばらく隣のこの嫌味な男と隣同士というわけだ。

「テストの前に、机の中は空にして、出席番号順に座ってください。チャイムが鳴る3分前には着席しておくように」

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