日直当番【完結】
「飲み物持ってくるので、座っててください」

「うん」

 男の子の部屋に入ること自体が初めてだ。なんだかそわそわして落ち着かない。6畳くらいの広さの部屋に、家具は勉強机、本棚、洋服ダンス、ベッド、小さいテーブルとシンプルで、掃除が行き届いていて清潔感がある。神経質そうな進藤くんらしい部屋だ。本棚にはたくさんの参考書やら問題集が並んでいる。小説もたくさん並んでいるけど、夏目漱石や太宰治とか、近代文学作品ばかりだった。中には専門書らしい洋書も入っている。

 進藤くんはペットボトルのウーロン茶とコップが2つ載ったお盆を持って戻ってきた。

「難しそうな本読んでるんだね」

 なんとなく、分厚い洋書が物珍しくて、手に取ってパラパラめくってみる。英文とともに何かの図式や計算が書いてあるけど、何のことかはちんぷんかんぷんだ。

「量子力学についての本です。物理に興味があるもので」

「へぇ、すごいねぇ。全然分かんないや…」 

「来て早速であれなんですけど、あなたに渡したいものがあります」

「渡したいもの?」

 進藤くんは勉強机の引き出しの中から何かを取り出した。

「こっち、来てください」

 進藤くんはベッドに座り、自分の左隣をポンポンとたたいた。
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