日直当番【完結】
「めんどくさ…」

 私は色とりどりのチョークで染められた黒板を前にしてポツリと呟いた。1時間目の現代文の先生はとにかく書きまくる。文字どうしが重なり合っていても気にしない。板書するこっちの身にもなってみろって話だよまったく。左を見ると進藤くんは黙々と消し始めていた。私は黒板に向かってぶつくさ文句を言いながら、大量に書かれた文字たちを消していった。黒板の真ん中あたりで進藤くんと会ったので、黒板消しを置いてその場を離れようとした。

「神崎さん」

「ん?」

「まだ黒板が汚いです。ちゃんと消してください」

「いや、だって次の時間も使うからどうせ汚くなるでしょ」

 と言いつつ進藤くんが消したところを見ると、未使用の黒板のごとくピカピカにきれいになっていた。私の消したところといえば……。しぶしぶ黒板消しを手に取って黒板を消そうとすると、また進藤くんは口をはさむ。

「そんな真っ白な黒板消しでは何度消しても意味がありません。クリーナーできれいにしてから消してください」

「はあ…」
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