日直当番【完結】
「さっきから何をしてるんですか?」

「ぁああぁ!ごめんなさい何もしないでください私を食べないでくださいおかしな気は起こさないでください、あと、えと、えと、その……」

「何を訳の分からないことを言ってるんですか?」

 進藤くんは腕組みをして少し考えてから「あぁ」と言って何かに納得した。

「僕は誰彼構わず手を出すような男ではありません。僕がそんな野蛮な男に見えますか?第一あなたのような粗雑な女性に下心も何も…」

 進藤くんは腰に手を当てて「やれやれ」といった風に濡れた髪をかき上げた。

 ムカッ。

 腹立つ態度。

「ちょっと私みたいな女がなんだっていうのよ!じゃあ敢えて訊くけどさぁ、この前のあんたの仕返しは一体何だったの!?」

 あーコワいこと訊いちゃったかも…。

「仕返し?ああ。別に、あれはただの仕返しです。暴力でやり返すのは性に合わないので、精神的に追いやってやろうかと。まあ物理的にもでしたが」

「はぁあ!?もっと別なやり方があんでしょ!?ひどい。私の乙女心を弄んだのね…」

 私は両手で顔を覆って俯いた。

「乙女心…」

 進藤くんは私の前にしゃがんで言った。

「神崎さん、手、どけてください」

 至近距離で進藤くんの声が聞こえて、身体がビクッと反応する。

「…」
< 35 / 120 >

この作品をシェア

pagetop