日直当番【完結】
 気づいたら1時間目の授業は終わっていた。寝てた。なのにノートはきっちり取ってある。すげー自分。

「捺乃、朝、皆川くんと進藤くんと一緒に何喋ってたの?」

 寝ぼけ眼に怪訝な顔をした由理の姿が映った。

「一体なんの話してたの?みんな見てたよ」

「えっマジで!?」

「あんな大きな声で喋ってたらそりゃ見るよ。で、なんなのよ。教えてみ」

「さーて次は生物だぁ。理科実験室だよねぇ。行こ行こー」

「話逸らすな!ほら言ってみーな」

「別に大した話じゃないし」

「いいからほら言いなさい」

 由理の手が「おいでおいで」しているので、理科実験室に向かいながら彼女に昨日のことを話した。

「―――まぁそんで進藤くんとふたりきりになっちゃって…」

「うわっそれヤバくない!?」

「あっちはなんとも思ってなかったみたいだよ」

「で、そのあとは」

「紅茶飲んで、服はそのまま借りて、家まで送ってもらった。簡単に言うとこんなもんだよ。うん」

「簡単に言うと…ね」

  一瞬、あのときの甘い囁き声が脳裏をよぎってドキリとする。


『ごめんなさい。もしかして、そういうの、期待しました?』


「詳しくは語りません」
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