日直当番【完結】
「さっきは大きな声を出してしまってすみません。取り乱しました」
進藤くんは脚立を立てながらそう謝った。泰然自若の王と言われた男が、取り乱した、だと。たしかにあんなふうに声を上げる進藤くんを見るのは初めてで驚いた。
「どんなときでも冷静であるはずなのに、僕としたことが…」などとブツブツ言っている。
「あ」
私は見つけてしまった。脚立の下敷きになって潰れた進藤くんの眼鏡を。
「ごめん進藤くん。私のせいで、眼鏡が…」
「まぁ、やってしまったものは仕方ありません。どうせそろそろ替えようとも思っていましたし」
そう言いながらも声は落胆の色を見せていた。いつだったか、「あいつの銀縁眼鏡をかち割ってやる」と、息を巻いて言った記憶はあるけど、まさか本当に、しかもこんな形で割ってしまうことになるなんて…。
「あー、うん、あれだよ。これを機にコンタクトデビューなんてどう?絶対そっちの方がイケてるって」
私はわざと明るい口調で言った。
「僕は眼鏡がいいんです」
「ごめんなさい…」
進藤くんは割れた眼鏡を拾ってハンカチに包んだ。
「このあと一緒に買いに行こうか?」
「あいにく手持ちがないので」
「私からも出すよ」と言いたかったけど、私の財布にはたしか2000円くらいしか入っていないのを思い出して口をつぐんだ。
進藤くんは脚立を立てながらそう謝った。泰然自若の王と言われた男が、取り乱した、だと。たしかにあんなふうに声を上げる進藤くんを見るのは初めてで驚いた。
「どんなときでも冷静であるはずなのに、僕としたことが…」などとブツブツ言っている。
「あ」
私は見つけてしまった。脚立の下敷きになって潰れた進藤くんの眼鏡を。
「ごめん進藤くん。私のせいで、眼鏡が…」
「まぁ、やってしまったものは仕方ありません。どうせそろそろ替えようとも思っていましたし」
そう言いながらも声は落胆の色を見せていた。いつだったか、「あいつの銀縁眼鏡をかち割ってやる」と、息を巻いて言った記憶はあるけど、まさか本当に、しかもこんな形で割ってしまうことになるなんて…。
「あー、うん、あれだよ。これを機にコンタクトデビューなんてどう?絶対そっちの方がイケてるって」
私はわざと明るい口調で言った。
「僕は眼鏡がいいんです」
「ごめんなさい…」
進藤くんは割れた眼鏡を拾ってハンカチに包んだ。
「このあと一緒に買いに行こうか?」
「あいにく手持ちがないので」
「私からも出すよ」と言いたかったけど、私の財布にはたしか2000円くらいしか入っていないのを思い出して口をつぐんだ。