日直当番【完結】
『ピンポンパンポーン♪
 2年3組の2時間目の体育は体育館で行います。
 ピンポンパンポーン♪』

 1時間目の休み時間の校内放送は、私たちのクラスに向けられたものだった。

「え?体育って5時間目じゃなかったけ?」

「授業変更で2時間目の数学Ⅱと交換になったんですよ」

 進藤くんはネクタイを外しながら言った。

「ああ…」
 今日の体育はバスケだ。男女別にコートの半面を使って試合をするのだ。人数が多いので3グループに分かれて、2点先取の勝ち残り、2回連続勝った場合は勝ったチームが交代するという流れで試合をすることになった。

「行くぞぉ、下がれー!」

 男勝りのさっちゃんは、さすが砲丸投げをやってるだけあってボールを悠々と遠くに飛ばす。私は束ねたセミロングヘアを振り乱し、ボールの着地点まで走った。飛んできたボールを見事にキャッチ。私のまわりには誰もいない。ほぼ独走状態で私はゴール下まで華麗なドリブルで走り抜け、シュートを決めようとしたら足がもつれてこけてしまった。

「任せて!」

 そこに颯爽と現れボールを取ったのは由理だった。由理はピョコンとかわいいジャンプシュートを決めた。

「由理ありがと~~~」

「ピピーッ!交代ー!」

 先生の笛の合図で、2回連続勝利した私たちのチームがコートの外に出た。私はフラフラと体育館の隅に腰を下ろしてタオルで顔を扇いだ。

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