日直当番【完結】
 その日の帰りのSHRが終わって、スクールバッグに教科書やノートを詰め込む私に進藤くんが声をかけた。

「神崎さん、付き合ってくれるんですよね?」

「つ、つ、付き合う…!?」

「何をたじろいでいるんですか。眼鏡を買いに行く約束、忘れたんですか?別に無理して付き合わなくてもいいですけど」

「あ、わ、忘れてないよ。もちろん、付き合うよ」

 焦った…。あの子たちのせいで思考がおかしくなってるみたいだ…。

 私は部活を休んで進藤くんと眼鏡を買いに行った。進藤くんの行きつけの眼鏡屋さんは、学校の最寄り駅からは2駅離れた先にあるショッピングモールの中にあった。私は視力がいいので眼鏡というものには縁がなく、もちろん眼鏡屋さんに入るのも初めてだった。店員さんたちも眼鏡で、当たり前だけど店内には無数の眼鏡が置いてある。このお店では3000円台から眼鏡が買えるらしい。

 進藤くんは店内の眼鏡を物色するも、どれも角ばった形の銀縁眼鏡ばかり。壊した眼鏡もそうだった。

「せっかく買うならもっと違うタイプのにしたら?例えばこういうのとか」

 私は円形タイプの眼鏡を進藤くんにかけさせた。

「ぶふっ。こういう小説家いそう」

「人に眼鏡かけさせて笑うなんて失礼ですね」

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