日直当番【完結】
「その色はボルドーですね。落ち着いていて上品なイメージで素敵ですよ」

「ですよね?ほら、似合ってるよ。前の眼鏡よりツンケンしてないと思う。それに眼鏡のつるのステンレス感かっこよくない?おしゃれじゃない?」

「ふむ。フィット感もいいですね」

「価格的にもそんなに高くないですね。これにします」

「ありがとうございます。それではこちらで視力を測定しますので、彼女さんはあちらの椅子でお待ちください」

 ん?彼女さんって、私のこと!?

「あ、いや、彼女じゃないです!ただの友達です!」

「あら、それは失礼しました。ではお友達はあちらの椅子でお待ちください」

「はい…」

 進藤くんは店員さんに店の奥へ連れられて行った。

 恋人同士に見られてちょっと焦ってしまった。慌てて「友達」って言っちゃったよ…。体育の後のトイレで誰かが「友達でもムリだよ」と言っていたのを思い出した。いつの間に進藤くんを「友達」と認識し始めたんだろう。大嫌いって思ってたんだけどなぁ。別に好きってわけでもないけど。ムカつくし。

10分程度で進藤くんは店の奥から戻ってきて、会計をするところだった。私は進藤くんのもとへ駆け寄った。

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