日直当番【完結】
「神崎さん、あなたは非常に大雑把な人ですね」

「はいぃ？」

　しばらく経ってから、進藤くんがいきなりこう言ってきたのでカチンときた。

「ちゃんと端をそろえてずれないようにして留めてください。こういうふうに」

　寸分の狂いもなくきちんとそろえて留められたプリントを、私の前にずいっと出してきたので一瞬ひるんでしまった。私の留めたプリントを見ると、ほんの少しずれているだけで特段の支障はない。ほんと、ほんの数ミリくらい。こんなことでいちいち気ぃ使ってられるか！

「あのさぁ、別に進藤くん自身が完璧主義なのは構わないんだけど、他人を巻き込むのやめてくれる？」

　どうだ言ってやったぞ！という目で進藤くんを見た。だけど進藤くんはいつもと変わらない冷やかな目で私を見返した。

「な、なに」

　思わず逃げ腰になってしまう自分が強がっていたみたいで情けない。

「手を止めないでください」

「ん…」

　…………。

　やば、なんか一気に白けた。またしばらくして進藤くんが口を開いた。

「あなたのような大雑把な人を見ているとイライラして仕方がありません」

　進藤くんはまた私のイライラのツボを刺激する。遂に私の我慢の限界に達した。

「はぁあ！？たった数ミリずれただけでしょ！私はあんたみたいな神経質な男は嫌いだね！」

　あ、ヤバい思わず本音が…。
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