奪われたので、奪い返すことにしました【年齢制限版】
舞踏会当日、わたしはシリウスと共にセレーネ公爵家に来ていた。
どうやら次期当主の婚約発表もあるらしく、会場は大層にぎわっている。
「まさか、シリウスがセレーネ公爵家に所縁のある人だったなんて……」
セレーネ家と言えば、オルビス・クラシオン王国の二大筆頭貴族だ。白金色の髪に蒼い瞳を特徴に持っていて、とても見目麗しい家系の人々である。歴代の宰相も、このセレーネ家から排出されるのだ。
(でもまさか……そんな二大貴族の一員が、髪結いをしているなんて思わないじゃない……)
すごい人物が友人だったのだと、なんだかすごく落ち着かない。
舞踏会の会場には、たくさんの貴族が来ていて、わたしはすごく緊張してしまった。
しかも、やたらとじろじろと視線を向けられている気がする。