奪われたので、奪い返すことにしました【年齢制限版】
 ドキドキするわたしに、シリウスが耳元で囁いてきた。

「スピカ、大丈夫だよ――私が一緒なんだから――」

 彼女にそう言われると、不思議と心が落ち着いてくる。

(本当に……シリウスが男性だったら良かったのに……)

 そんなことを思ってしまう。

(ありえない、夢物語だわ……)

 そうして気を取り直して、二人できゃっきゃっと話していると、すっと人影が伸びてきた。

「スピカ」

 声を掛けてきたのは、元婚約者のデネブだった。

「デネブ……」

「こちらに来てくれないかー?」

「あ、スピカ――!」

 そうしてシリウスの元から奪われるようにして、デネブに裏庭へと連れて行かれたのだった――。

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