奪われたので、奪い返すことにしました【年齢制限版】

 デネブが嘆く。

「君たち、女性同士だというのに――」

 そんな彼に向かって、シリウスは微笑んだ。


「私の格好をよく見て――デネブ侯――」


 デネブの視線が、シリウスの着ている服へと移る。


「ま、まさか――あなたは――セレーネ家の――」


 わたしも追って、シリウスの格好に目をやる。


(え――? そんな……嘘でしょう――?)


 シリウスは白いフロックコートに青いクラヴァットを身に着けていたのだ。

 震えるデネブに、シリウスは蕩けるような笑顔を向け、こう言った。
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